PLRP-Sカラムは、広いpH範囲で使用できますので、酸性化合物の分析にも最適です。その際、酸性化合物のpKa値よりも低く移動相溶媒のpHを調整することによって、酸性化合物の解離(イオン化)を抑制し、カラムへの保持を高め、選択性の向上が得られます。目的対象物質の溶出してくる順番も、サルファ系抗生物質分析のように、移動相溶媒のpHによって変わることがあります。ここでは、pH2.2に調整されている移動相溶媒を使用した際は、スルファジアジン(2)とスルファメタジン(3)がイオン化されずにカラムに保持されます。一方、pH9.3に調整されている移動相溶媒を使用した際は、(2)と(3)が十分イオン化されて、カラムへの保持が弱くなり、その結果、溶出時間が早くなります。

アスピリンは従来、最も使用されている鎮痛剤でしたが、より効き目の強い他の薬物に取って代わられました。しかし最近アスピリンの他の薬効として、血液の粘性を弱め、このことにより心臓麻痺や血栓の危険性を軽減することが分かりました。アスピリンは、サリチル酸のアセチル誘導体です。類似の鎮痛物質であるフェナセチンは、しばしばアスピリン主体の調合剤にも混合されます。そしてこれらアスピリン、フェナセチン、サリチル酸の三種類の物質を、UV検出器を使用して分離/検出するのは、フェナセチンが非常に強力なUV吸収を持ち、そのピークが異常に誇張されて検出されてしまうため、困難でした。ここでのPL-ELS 2100エバポレイティブ光散乱検出器は、UV吸収には依存しないので、このような問題もありません。

銀杏(Ginkgo biloba)の葉からの抽出物は、漢方薬での生薬の重要な一つとなります。この生薬の調合では、抽出物中に含有される活性物質量が、影響を及ぼしますので、逆相HPLCカラムによる分析法が採用されています。ここでは、PLRP-S 100ÅカラムとPL-ELS 1000エバポレイティブ光散乱検出器を使用して、活性物質のbilobalide、ginkgolides A 、ginkgolides Bを定量分析しています。

クロモリン(Cromolyn)は、一般的に吸入器を使用して投与される抗ぜん息薬です。その品質管理は、内部標準物質を使用して定量分析されます。しかしシリカ系逆相HPLCカラムでは、この採用された標準物質と抗ぜん息薬の分離が困難でしたが、PLRP-S 100Åカラムでは、各々のピークがベースラインに到達する分離が行えます。

生体内におけるトリプトファン代謝産物は、とても意義深い生化学的重要事項であります。このトリプトファン代謝産物の生体内存在レベルの変化によって、うつ病及び精神分裂病からダウン症候群及びアルコール中毒症まで幅広い疾患に関与します。トリプトファンの異化作用における主流及び支流では、広範囲な代謝産物(酸性、塩基性、両性イオン性)が生まれます。PLRP-S 100Åポリマーゲルは、従来のアルキル基を導入した逆相シリカ樹脂と比較しましても、違った選択性が得られます。また残存シラノール基が材質上存在しないことによって、塩基性物質のピーク幅の広がりはありません。PLRP-S 100ÅカラムとPL-ELS 1000エバポレイティブ光散乱検出器の併用によって、総ての代謝産物が誘導体化せずに、より簡便に高い信頼性で定量分析できます。

生理学上、重要なステロイドの一つに、コレステロールから派生した胆汁酸(Bileacids)があります。この胆汁酸は極性と非極性の両部分をもつ物質で、十分なUV吸収もなく、逆相分配クロマトグラフィで分析するには難しいサンプルでした。ここではPLRP-S 100Åカラムに、グラジエントHPLCメソッドを適用して、結合した胆汁酸塩などの分離をしました。そしてUV吸収には依存しない、PL-ELS 1000エバポレイティブ光散乱検出器を使用しました。

体液中のシプロフロキサシンとその代謝物である三種類の物質の分析には、PLRP-S 100Åカラムが最適です。保持力の非常に強いPLRP-S 100Åカラムは、シプロフロキサシンと極性の強い総ての代謝物を、イソクラチック法で分析しました。シリカ系逆相HPLCカラムは、これら極性物質に対して、十分な保持力を持っていません。

テトラサイクリン(TC: tetracycline)の分解物[例: エピアンヒドロテトラサイクリン(EATC: 4-epianhydrotetracycline)、エピテトラサイクリン(ETC: 4-epitetracycline)、アンヒドロテトラサイクリン(ATC:anhydrotetracycline)]を、シリカ系逆相HPLCカラムで分析するのは、残存シラノール基とのインターラクションなどで困難でした。一方、分離能向上のための塩基性移動相(pH9.0)、及び高い分析温度は、逆相シリカ樹脂では使用できませんが、PLRP-S 100Åカラムでは使用でき、この簡便なイソクラチック法で、上記のテトラサイクリンの分解物が、定量分析できます。

テトラサイクリンの中で、クロルテトラサイクリン(Chlortetracycline)だけが、塩基性溶液中において、高い蛍光アイソ-クロルテトラサイクリン誘導体をつくり出します。ですので蛍光検出器を使用しますと、クロルテトラサイクリン化合物を、特異的に高感度で分析できます。クロルテトラサイクリンは豚の餌に添加して、菌由来の疾病を阻止する目的で利用されており、ここでは豚肉に含有されるクロルテトラサイクリン含有量が定量分析できます。

モルヒネを検出する分析では、塩基性(pH9.5)の水系移動相を必要とするため、シリカ系逆相HPLCカラムでは問題で、高いpHでも使用できる耐薬品性に優れたポリマー系逆相HPLCカラムが必要となります。PLRP-S 100Åカラムですと、優れた選択性、高理論段数、及び良いピーク形状が得られます。またこの図24.で紹介されている文献では、PLRP-S 100Åカラムを毎日、一年以上使用しても、同等の分析結果が得られたとのことでした。このことにより、PLRP-Sカラムが丈夫なカラムであることが証明されました。
