クロムテック(ChromTech)社 サンプル前処理
バイオトラップ(BioTrap)カラム/リピート(RePeat)固相抽出カートリッジ

バイオトラップ500とリピートとは?

バイオトラップ500とリピートは、生体適合性樹脂の特性を生かして、血漿から薬物や代謝物を抽出します。この樹脂のユニークな孔構造は、低分子化合物を血漿タンパク質から分離します。樹脂の外部表面は非常に安定しているα1-酸性糖タンパク質(AGP: α1-acid glycoprotein)で被膜されており、生体適合性に富んでいます。また樹脂の内部表面は、非常に疎水性となっています。そしてこの樹脂は、低分子化合物だけが素通りできるほどの小さな孔径をもっていますので、この低分子化合物が内部に侵入して、内部表面に吸着します。しかし高分子物質は内部に侵入できずに排除され、直接洗浄廃棄されます(図1. 参照)。


図1.分離の仕組み
   

バイオトラップ500を使用しての自動化オンライン抽出システム

バイオトラップ500シリーズのカラム商品群と、通常のLCシステムだけで、バイオ分析の完全自動化が可能です。高い正確性と精度が要求されるバイオ分析方法は、一連の作業における手動操作を無くすことによって、その開発が可能となります。ただしサンプルの定量段階前における操作数が増えますと、それに反比例して、正確性と精度が落ちます。またこのシステムではスイッチング・バルブ以外に、装置等は一切必要ありません。そしてこの固相抽出カラムは、非常に多くのサンプル検体数をこなしますので、時間の節約と高い経済性が得られます。バイオトラップ500シリーズのカラム商品群は、従来の検出器はもとよりLC/MSに最適です。

バイオトラップ500シリーズのカラム商品群は、血清、血漿、ミルク、細胞培養上清、ミクロゾーム培養液、醗酵液、その他各種混合液を、事前の前処理をせずに直接HPLCシステムに、繰り返し注入することができます。

タンパク質などの高分子物質は、分析用HPLCカラムに注入する前に、サンプル中から除去する必要があります。でないと、逆相クロマトグラフィの移動相で使用する高濃度有機溶媒や、また逆相HPLCカラムの樹脂自身の疎水的表面化学によって、タンパク質が凝集してしまいます。

バイオトラップ500シリーズのカラム商品群を使用しますと、薬物化合物の分析カラムへの注入前に、サンプル中のタンパク質やその他各種高分子物質を、オンラインで除去できます。図2.ではバイオトラップ・カラムの使用方法を、「抽出状態(Extraction position)」と、「溶出状態(Elution position)」の略図で説明しています。



図2.バイオトラップ500カラムを組み込んだフローチャート

 

リピートを使用してのオフライン固相抽出(SPE)

リピートは、血清、血漿、ミルク、細胞培養上清、ミクロゾーム培養液、醗酵液、その他各種混合液などから、繰り返し薬物を抽出できるように設計された、ユニークなオフライン固相抽出カートリッジです。通常の固相抽出カートリッジが使い捨てなのに対して、リピート・カートリッジは繰り返し使用できるので、非常に多くのサンプル検体数をこなします。このため一検体のコストを大きく引き下げます。リピート樹脂はポリマー基材ですので、リピート・カートリッジの使用可能pH範囲はpH2〜13です。この特性により、通常は電荷をもってしまうプロトライテ(Protolyte)などを、電荷を持たない状態で抽出することが可能です。電荷を持たない分析対象化合物などは、リピート樹脂内部の疎水表面に、より高い親和性を持ちますので、高い回収率が得られます。

バイオトラップ500カラム/リピート固相抽出カートリッジによる抽出工程

バイオトラップ500を使用してのオンライン抽出技術や、リピートを使用してのオフライン固相抽出技術で、血漿/血清から薬物を抽出する工程は、図3.の通りです。血清タンパク質などと結合した薬物と、結合していないフリーな薬物の両方が含有されている血漿/血清を、これらの抽出カラムに負荷します。このタンパク質と結合した薬物と、フリーの薬物を合計した薬物の全体濃度は、バイオトラップ500やリピートを利用して測定できます。

ここでの抽出の要点は、以下の通りです。

  1. 結合していないフリーな薬物は、樹脂の内部表面に吸着抽出されてしまいますので、タンパク質と結合した薬物と、結合していないフリーな薬物の比率が一定となることにより、薬物/タンパク質結合が平衡化となります。

  2. フリーな薬物が吸着抽出されますと、次の新しいフリーな薬物が放出され、また吸着抽出されるという仕組みで、サンプル範囲がこれらの抽出カラムを移動していきます。このことから薬物の全体濃度が測定できます(フリーの薬物 + 結合した薬物)。

  3. タンパク質分子は樹脂から廃棄へ移動させられる。

  4. この吸着抽出工程後に、バイオトラップ500ですとオンラインで、またリピートですとオフラインで、これらの樹脂内部に吸着していた薬物を溶出し、そしてその薬物を分析カラムで分析します。



図3.抽出工程の仕組み

バイオトラップ500シリーズ カラム


写真1. 4mm内径 バイオトラップ500カラム

写真2. 2mm内径 バイオトラップ500カラム

バイオトラップ500 MSカラム

バイオトラップ500 MS樹脂は、生体適合性の外部表面と非常に疎水性の内部表面を持っています。このカラムの有利な点である、広い使用可能なpH範囲はpH2〜10です。この特性から塩基性物質は高いpHで、また酸性物質は低いpHで、抽出することが可能となります。これらの条件下ですと、化合物などが電荷を持たない状態で抽出されますので、高い回収率及び高い効率が得られます。このことからバイオトラップ500 MSカラムは、MS検出器でのオンライン抽出用カラムとして最適です。この新世代の抽出カラムを含む通常のLCシステムとMS検出器で、バイオ分析方法が組み立てられます。バイオトラップ500 MSカラムは他にも蛍光検出器、UV検出器、EC検出器などでも使用できます。

バイオトラップ500 C8及びC18カラム

バイオトラップ500 C8及びC18カラムは、生体適合性の外部表面とC8及びC18の内部表面を持つ、シリカ基材の抽出用カラムです。バイオトラップ500 C8樹脂は、C18樹脂とは異なる保持力をもちます。このバイオトラップ500 C8樹脂は、非常に疎水性の高い分析対象化合物に最適です。一般的にバイオトラップ500 C8及びC18樹脂からは、異なるクロマトグラフィ分離が得られます。

リピート固相抽出カートリッジ

リピート・カートリッジは、繰り返し使用できる固相抽出(SPE)カートリッジです。このリピート・カートリッジは、通常のマニホールドでも使用できる、1.5ml(25mg)カートリッジサイズを採用しています。
リピート樹脂は高い回収率を誇りますので、25mg樹脂量でも、ほとんどのバイオ分析用サンプルには十分な量です。



図4.リピート・カートリッジ

簡便な通常のバイオ分析法

バイオトラップ500 MSカラムによるオンライン抽出法

1) アミンの抽出
バイオトラップ500 MSカラムはpH安定性に優れていますので、アミンなどの抽出をアルカリ側の高いpHで行なうことによって、電荷を持たない状態で抽出できます。そして電荷を持たない化合物は、樹脂内部表面に高い親和性があるので、高い回収率が得られます。
抽出移動相: 4% 2-プロパノール含有10mM酢酸アンモニウム バッファー、pH10.0(pHはアンモニア水で調整)
流速: 1.6〜5ml/min

2) 酸の抽出
酸の抽出は酸が電荷を持たない状態で抽出できる、低いpHで行なうことが最適です。そして電荷を持たない酸は、樹脂内部表面に高い親和性があるので、高い回収率が得られます。
抽出移動相: 4% 2-プロパノール含有100mMぎ酸
流速: 1.6〜5ml/min

バイオトラップ500MSの特徴

  1. MS検出器と組み合わせて使用できる設計
  2. 血漿/血清の直接注入
  3. 一般的な抽出法
  4. 自動化が可能
  5. 高いタンパク質結合薬物の高い回収率(通常>95%)

リピートによるオフライン固相抽出

リピート樹脂が持つ広いpH範囲(pH2〜13)は、塩基性物質は高いpHで、また酸性物質は低いpHで、抽出することを可能としました。溶出方法は以下の二通りの方法があります。

  1. 塩基性化合物であればトリエチルアミン、酸性化合物であれば酢酸を混合した有機溶媒で溶出する。
  2. HPLC分析で使用する移動相(バッファー/有機溶媒の混合液)で溶出する。

もし分析が濃縮工程を必要とするなら、1.の方法をお勧めします。しかし分析対象化合物が2.の移動相で溶出できますと、サンプルの濃縮及び再溶解などの再調整無しで、分析カラムに直接注入することができます。この方がより簡便で時間短縮にもなりますので、できればお勧めします。

リピートの特徴

  1. 繰り返し使用できるので、非常に多くのサンプル検体数をこなします
  2. コストを大きく引き下げます
  3. 簡便な使用法
  4. 高いタンパク質結合薬物の高い回収率
アプリケーション一覧(バイオトラップ500MS/C8/C18カラム及びリピート・カードリッジ)